Google Nik Collectionは、以前はGoogleによって買収される前には、画像編集用のプラグインとして約6万円近くもの高価だったが、その価格に相応しい高品質な仕上がりを提供していました。
このプラグインは静止画用のツールであり、静止画の編集においては非常に優れたクオリティを実現しています。ただし、このクオリティを動画にも適用することは難しいと思われますが、私はDaVinci Resolveを使用して色々な試行錯誤を行いました。
なお、Google Nik Collectionは現在配布が終了しており、公式ウェブサイトから入手することはできません。ただし、Windows版とMac版の両方について、入手可能な方法が残されているようですので、必要な方は別途調査をお願いします。
以下は、大まかな手順です。
1. 動画を静止画のTIFF形式で書き出す。
2. TIFF形式の静止画をGoogle Nik Collectionで一括処理する。
3. 処理された静止画を再度動画にする。
上記の手順では、Google Nik CollectionとDaVinci Resolve(無料版)のみを使用し、他のツールは必要ありません。
TIFF(静止画)の書き出し
DaVinci Resolveのレンダーは、通常は仕上げた動画を書き出すためのものですが、静止画を書き出すことも可能です。フォーマットをTIFFに選択すると、動画形式ではなく、各フレームを個別の静止画として出力できます。
この際、ファイルで保存するのではなく、フォルダーを指定する必要があります。指定したフォルダーには連番で静止画が書き出されます。ただし、書き出されるファイルの量は膨大で、例えばフレームレートが60FPSの場合、たった1分の動画でも3600枚の静止画になります。誤って思わぬ場所に書き出してしまうと大変なことになりますので、注意が必要です。
もう一つの注意点はストレージ容量です。動画形式では容量を消費しませんが、連番の静止画では桁違いに多くのストレージ容量が必要になります。例えば、4K60FPSの場合、たった4分の動画でも60GBもの容量が消費されます。このような場面で動画の圧縮コーデックの利点を実感することができます。
最近ではThunderboltやUSB3.0を利用した外部ストレージの速度も向上していますので、動画制作を行う場合は外部ストレージを利用することを検討する価値があります。私は自作PC時代に余ったSATAの1TB SSDをUSB接続で外付けにして使用しています。
Google Nik Collectionでの処理
Google Nik Collectionは元々はフォトショップなどのプラグインとして使われることが一般的でしたが、単体で起動して使うことも可能です。単体起動の場合でも、画像を取り込む段階で複数のファイルを指定すると、同じ処理を一括で行うことができます。
この処理の手順は以下の通りです。
1. 書き出した静止画のフォルダーをコピーします。
2. Nik Collectionの各ソフトでユーザープリセットを作成します。
3. 全ての静止画を一括で処理します。
重要なのは、この処理で失敗する可能性があるということです。Google Nik CollectionはCPUのパワーをかなり使いますし、保存する際は新規保存ではなく、全ての元のファイルを上書きしてしまいます。
そのため、万が一の失敗に備えてオリジナルのファイルをコピーして保存しておくことが重要です。そうでないと、再度DaVinci Resolveで動画からTIFFを書き出す作業からやり直さなければなりません。
また、動画の尺によっては、万単位の静止画を処理する必要があるため、途中でフリーズすることもあります。実際に、4分足らずの動画から抜き出した静止画の加工で、ColorEFX、AnalogEFX、SilverEFXともに少なくとも3回はフリーズを経験しました。
このような状況に備えて、Nik Collection内の各アプリで加工を始める前に、ユーザープリセットとして保存しておくことが重要です。万が一フリーズした場合でも、処理が中断した画像からやり直すことができます。ただし、ここでユーザープリセットを作成しておかないと、完全に同じ設定を再現することができません。また、再度処理を行う必要があるか、そうでなければ動画の途中で微妙に色味が変わってしまう可能性があります。
DaVinci Resolveで再度動画にする
フォルダーごとDaVinci Resolveのタイムラインに入れるだけで、静止画を動画に変換することができます。
DaVinci Resolveにはタイムラプスの機能があり、連番になっている静止画ファイルが入ったフォルダーを読み込ませると、自動的にタイムラプスとして認識されます。
本来は数秒ごとに露光した写真を並べてタイムラプスを作る機能ですが、元々動画から抜き出した60分の1秒の写真(画像)を並べると、そのまま元の動画と同じ再生速度になります。
ただし、プロジェクトのフレームレートはオリジナルの動画素材と同じに設定する必要があります。そして、静止画から動画に変換した後は、オリジナルの動画が含まれたプロジェクトに配置して、動画として書き出すのが良いでしょう。なお、静止画から変換した動画には元の動画の音声が含まれていないため、オリジナルから音声をコピーする必要があります。
また、タイムラプス処理は意外とリソースを消費するため、そのままでは編集に向かないことがあります。そのため、動画に変換した後は、編集作業を行う際には注意が必要です。
まとめ
確かに、Google Nik Collectionを使った動画処理は時間とストレージ容量がかなり必要ですが、その結果得られる高度な映像表現は通常のビデオ用のプラグインでは表現できないものがあります。
この方法は手間がかかるため、日常的には使いづらいかもしれませんが、特別なシーンやプロジェクトで使うことで、よりクオリティの高い映像を作成することができます。
特に、Google Nik Collectionの豊富なフィルターや効果を使って、独創的で美しい映像を作り出すことができるでしょう。そのため、特別なシーンやプロジェクトにおいては積極的に活用していくことが、映像制作の幅を広げるうえで重要だと考えられます。