ダヴィンチリゾルブを使う上で、さまざまな問題に直面することはよくありますが、レンダリングが途中で止まってしまうほど厄介なものはありません。
例えば、レンダリングに3時間以上かかると、2回もやり直すことになり、1日が無駄になってしまいます。エラーが発生する場合、通常は次の2つのメッセージが表示されます。
1. 「your GPU is full」
2. 「現在のクリップを処理できませんでした」
「your GPU is full」というエラーは、単純にGPUの性能が不足していることが原因です。私が使用しているノートPCにはGTX1650(laptop)が搭載されていますが、4K動画を編集したり、クリップを重ねたりすると、このエラーが頻繁に発生します。
この問題は、レンダリング中だけでなく、作業中にも発生します。そのため、ソフトウェア自体がクラッシュしてしまい、再起動しても同じ問題が発生し、プロジェクトを開けなくなることがあります。また、タイムラインの解像度を下げようとしても、ダヴィンチリゾルブではプロジェクトを開かないと設定を変更できないため、困難です。
この問題を解決する方法は、レンダリング時の負荷を減らすことです。主な方法は次の通りです。
1. レンダーキャッシュを使用する
2. レンダリングして置き換える
3. 予め仕上げた素材を書き出して再利用する
一般的には、自動でレンダーキャッシュを作成し、書き出し時にそれを使用する方法がありますが、うまく機能しないことがあります。さらに、作業中でも裏でレンダリングが継続されるため、システムが重くなることがあります。
レンダーキャッシュに関しては、私自身も知識不足であり、どの程度負荷を軽減するために使用されているか理解していません。トランジションやカラーが含まれるかどうか、特にGPUに負荷をかけるオプティカルフロー処理が含まれているかどうかが不明です。
結局、レンダーキャッシュを使用してもほとんどの場合レンダリングに失敗します。残念ながら、レンダリングして置き換えた場合も、複雑なプロジェクトではうまくいかないことがあります。
そこで、裏処理を済ませたクリップをすべて動画として書き出し、別のプロジェクトで読み込んで再編集することにしました。これでノートラブルで書き出しに成功しました。
なお、劣化を避けるために、一度書き出すクリップはmp4ではなく、全てQuickTimeでコーデックにDNxHRを指定しました。DNxHDという形式もありますが、フルHDまでしか対応していないため、こちらでも問題ありません。
DNxHDやDNxHRを選択すると、詳細な設定が表示されますが、とりあえず1080pの10bitをデフォルトにしました。
カラーなど後で調整する必要のあるものは適用せずに書き出しましたが、最も負荷のかかるオプティカルフローだけは先に処理しておくと、GPUの余裕が増えます。
しかし、このトラブルはプロジェクトが複雑になった時にしか発生しないため、対策にはそれほど気を配る必要はありません。
「現在のクリップを処理できませんでした」という問題もよく発生します。原因としては次のようなものがあります。
1. 元々の動画素材のフレームが欠落している
2. 処理が追いついていない
3. Fusionに問題がある
古いデジカメを使用しているわけではないため、元素材のフレームが欠落することは考えにくいです。結論から言うと、ほとんどの場合、もしくはすべての場合がフュージョンのトラブルでした。
ダヴィンチリゾルブでは、フュージョンを使わずにドロップインするだけで使用できるフュージョントランジションやフュージョンタイトルがありますが、特にフュージョンタイトルが問題を引き起こすことがあります。
フュージョンタイトルを他のものに置き換えると、レンダリングのエラーが解決することがほとんどです。プラグインなどではなく、純正のフュージョンタイトルがエラーを引き起こすのは不便ですが、無償版で使用できる機能が豊富なので、文句を言うことはできません。
設定で「処理できないフレーム/クリップがある場合にレンダリングを停止する」にチェックを入れると、レンダーは正常に完了しますが、書き出した動画にはブラックアウトやフリーズしたエフェクトが含まれることがあります。このような場合、動画だけを書き出しても根本的な解決にはなりません。多くの動画がYouTubeに投稿されていますが、視聴者は細かい問題に気づかないことがあります。しかし、クリエイターとしては妥協できない部分があります。
さらに、GeForceGTX1650などの性能の高いGPUを使用していても、4K動画の編集には十分でない場合があります。そのため、RyzenAPUやiGPUなどでダヴィンチリゾルブを使用しようとする場合、このようなトラブルが頻発する可能性があります。まともな編集を行うには、M1 MacやGPU搭載のマシンを購入する必要があるかもしれません。